引用ってどのくらいまでなら著作権違反にならないの?
引用する時に気を付けておくことって何?
ブログ記事を書く上で、引用を使うと記事に説得力が増します。
第三者の意見を取り入れることで、自分が思い込みで語っていることではないと証明できるためです。
しかし引用の方法を間違えると著作権違反になってしまいかねません。
本記事ではブログで引用する際に、うっかり著作権違反になってしまわないように、引用ルールや書き方を解説します。
- ブログに引用する際の5つのルール
- 文章を引用する場合
- 画像を引用する場合
- 誤った引用で著作権違反をしてしまうことのリスク
ブログにおける引用ルール5つ
引用は主に、自分の意見の正しさに客観性を持たせるために利用します。
ブログ記事は基本的に、「個人の感想です」になりがちです。
引用を加えることで、「世間の意見です」に変えることができます。
ブログ記事で引用する際は、下記の5つについてルールを守れば問題になることはありません。
- 必然性がある
- 引用部分と本文の区別がつく
- 引用はあくまで補足で、自分の著作物が主である
- 引用元の出典・出所の記載がある
- 引用部分を改変しない
必然性がある
客観的に見て、「ここで引用するのは当然だな」と必然性を感じられることが最も重要です。
引用しないことで、説得力に欠けたり、自分の考えの正しさを証明しづらい場合は引用を使う必然性があると言えます。
反対に、引用を使わなくても十分な客観性を確保できる場合や、単に装飾目的・文字数稼ぎになる場合は引用をする必然性は認められません。
引用部分と本文の区別がつく
ブログ記事の本文と、引用した部分は明確に区別がつくようにしておく必要があります。
- カギ括弧をつける
- 引用符で囲む
- 枠線で囲む
- 斜体にする
- 背景色を変える
といった装飾を行い、視覚的にも引用部分であることが明確にわかるようにします。
引用はあくまで補足で、自分の著作物が主である
ページの大部分が引用で一部だけを改変した内容は、引用の範囲を超えて転載とみなされてしまいます。
引用部分はあくまで補足で、自分で書いたブログ記事が主役になるように書きましょう。
ついつい文字量のバランスのみに目が行きがちですが、内容についても自分の著作物が主になっている必要があります。
引用元の出典・出所の記載がある
引用をする際には、出所を明示しておく必要があります。
「明示」なので、ハッキリと見えるところに書く必要があります。小さい文字や薄い文字色など見えづらくしてはいけません。
証拠や根拠として示されていることを「本当にそうなのか」と確認したくなった時に、いつでも確認できるようにしておきましょう、ということです。
ブログ記事で出典を明記する場合は、基本的には下記を明記すればOKです。
- 記事タイトル
- URL(記事タイトルにリンクするだけでOK)
- サイト名(必要に応じて)
- 著者名・書籍名(書籍の場合)
引用部分を改変しない
引用する部分については、勝手に書き換えてはいけません。
前後の文章とうまくつながらないから、読みにくいから、間違っているから、という理由で勝手に書き換えないようにしましょう。
これは著作権法第20条で「同一性保持権」として保障されています。
ブログに文章を引用するときの書き方
続いて、ブログの文章を書く際の、引用の書き方について解説します。
WordPressでの引用の挿入方法
WordPressでは、二重引用符のマークをクリックすると引用部分になります。
クラシックエディタ・ブロックエディタ共にWordPressの標準機能です。
引用元の書き方
引用元の書き方自体に決まった書式はありません。
どこから引用しているのかを明示できていればOKです。
- 引用:引用元の記事名
- 引用:引用元の記事名(サイト名)
- 引用:引用元の記事名(https://~~)
- 出典:引用元の記事名
- 出典:引用元の記事名(サイト名)
- 出典:引用元の記事名(https://~~)
「引用:」「引用元:」「出典:」などを前につけ、引用元の記事名を記載します。
URLは記事名にリンクをするのが一般的ですが、URLを見て読者がピンとくるような有名なサイト・公共性の高いサイトであればURL自体を書いて、そこにリンクしても構いません。
信頼性の高いコンテンツにリンクを張ることもSEO効果があるとされています。
尚、サイト名の記載は任意です。知名度の高いサイトなら記載してもいいかなという感じです。
書籍を引用する場合の書き方
引用元が書籍の場合も決まったフォーマットはありません。
- 出典:「書籍の名前」 (著者名)
- 出典:「書籍の名前」 - 著者名 - (出版社)
- 出典:「書籍の名前」 - 著者名 - (出版社:発行年)
- 引用:「書籍の名前」 - 著者名 - (出版社:発行年) 第〇章
引用の書籍そのものを示す場合は「出典」、書籍の中の一部を指すなら「引用」でも構いません(厳密なルールはありません)。
書籍の名称と著者名はほぼ必須で、それに出版社名や発行年などを付ける感じです。発行年は情報の鮮度が必要と判断する場合につけると良いでしょう。
1冊の本はとても長いので、ページ数や何章なのかも記載すると親切です。ただし、何ページ目かを書くと、改訂時にページ番号が変わる可能性があるので章名などにしておくといいです。
SNSの投稿を掲載する場合は埋め込み機能を利用
YouTubeやX(Twitter)から引用する場合は基本的には埋め込み機能を使えばOKです。
ただし、スクショにしたり画像だけを抜き出したりすると、著作物の改変にあたるため、NGになります。
WordPressにはSNSの埋め込み機能がありますので、エディター画面でURLを直接貼るか、共有ボタンを押して短縮URLを取得して埋め込むようにしましょう。
口コミを引用する場合は口コミサイトもおすすめ
SNSで記事の内容に即したレビューがたくさん見つかればいいのですが、実際にはなかなか見つけにくいですよね。そういった時は口コミサイトにあるレビューを利用するのも手です。
口コミサイトの例として「みん評」だと、レビューを引用することを許容されています(むしろ積極的に推奨)。
2012年より12年以上運営されており、2023年7月時点で26万件以上の口コミが投稿されています。
例えば、初心者に人気のVOD案件である「hulu」に対する口コミ数だと、144件ほど掲載されている(2023年7月時点)ので、記事の内容に合わせた口コミが見つかるはず。
ちなみにステマ対策に力を入れられており、なんと1件1件目視で確認されているとのこと(みん評さんに聞いてみました)。
注意点として、みん評からも直接商品のページに移動することができてしまうので、結果的に成果を譲ってしまうことになりかねません。
そういった場合は、アフィリエイト案件がない、競合商品のデメリットを比較として集める(先ほどのVODジャンルの例ならNetflix)といった活用方法がおすすめです。
ブログで画像を引用する場合の確認事項
自分で作成していない画像をブログ記事に入れる場合は以下の場合が考えられます。
- デザインのために使う → 素材(写真やイラスト)
- 資料として使う場合 → 引用(グラフ画像や図解など)
素材としての利用
イメージ画像(挿絵)やアイキャッチとして加工して使う画像は引用ではなく「素材」になります。
素材にも著作権がありますが多くは使用権やライセンスが個別に定められています。
有料素材 | ライセンス料を支払っている |
著作権フリー画像 | 自由に使って良い |
フリー画像 | 条件付きで使って良い |
有料素材はライセンス料を支払っていることになるので自由に改変できることがほとんどです。
フリー素材を使用する際には「著作権フリー」で自由に使っていいのか、クレジット表記が必要など条件付きで利用できるものなのかを確認する必要があります。
画像を引用する場合も基本は文章の引用と同じ
画像であっても、引用して使う場合は文章と同じようにルールを守って引用するようにしましょう。
- 必然性がある
- 引用部分と本文の区別がつく
- 自分のコンテンツがメインである
- 出所が明示されている
- 改変しない
上記のルールに加え、
- できるだけリサイズしない(やむを得ない場合はOK)
- 動画のキャプチャー画像などは鑑賞できるレベルではないこと
- モザイク加工などをしない
画像の引用が認められるのは、画像を引用しないとコンテンツが成立しないと断言できる場合です(文章よりも頻度は下がるはず)。
直リンクをしない
画像を引用する際は、画像のURLを指定して直リンクするのは避けましょう。
うっかりやってしまいがちなこととして、ブラウザ上で画像を選択してコピーしたものをブログの編集画面に貼り付ける方法を取ってしまう場合です。
このやり方ではURLが元の画像のままになるので直リンクしていることになります。
引用したい画像を右クリックして保存し、それをアップロードするのが正しい方法です。
では直リンクがなぜNGなのかというと、次の2点があるからです。
- 引用元のサーバーに負荷がかかる
- 引用元の画像が変更された場合、全く違う内容になると引用の必然性が担保できなくなる
画像そのものを複製することになるので、著作者に連絡を入れた上で使わせていただくのがベターです。
著作権侵害になった場合のリスク
引用の範囲を超えて著作権侵害に該当し、訴えられた際のリスクには以下のようなものが考えられます。
損害賠償の請求
著作権者から使用した著作物に対する使用料(ライセンス料)を請求される場合があります。
刑事罰(罰金や懲役)
個人に科される刑は、第119条に記載されています。
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:著作権法 | e-Gov法令検索
また、法人の場合は、第124条に記載されています。
三億円以下の罰金刑
引用:著作権法 | e-Gov法令検索
上記のように罰の内容は決して甘くありません。
SEO評価の低下
Googleは「著作権侵害の報告: ウェブ検索」フォームを用意しています。
例えば権利者にここから報告されてしまい、著作権侵害だと判定されてしまうとペナルティを受ける可能性が高くなります。
該当する記事がインデックスから削除されるのはもちろんのこと、サイト全体で手動ペナルティを受ける可能性もあります。
ブログの閉鎖を余儀なくされる
著作権を侵害された人は、掲載の差し止めをする権利があります。
プロバイダ責任制限法に基づいて、該当ページの掲載差し止めはもちろん、サーバー会社を調べて連絡し、発信者名の開示請求も可能です。
レンタルサーバーは著作権違反のサイトを放置すると、損害賠償を支払わなければならなくなるので、一時的にアクセスできなくする措置などが取られる可能性もあります。
ブログで引用する際のよくある質問
引用元に許可を取る必要はありますか?
引用自体は法律で認められており、引用元に連絡を取る必要はありません。
著作者に連絡が必要なのは「転載」をする場合です。
自分の記事を引用禁止にすることはできますか?
著作権法32条では、「誰でも」「自由に」引用することが認められています。
引用禁止と記載しても無効で、著作者の許諾を取る必要もありません。
従って、引用禁止にすることはできません。任意に「できたら引用する時は連絡してほしい」のように記載することは自由ですが、義務にはならないです。
1記事で何箇所までなら引用できますか?
1本の記事作成にあたって、
- 引用する個数
- 引用元の数
は共に制限はありません。ただし、あくまで主役は自分の書いたものである必要があります。
引用と転載の違いは何ですか?
転載をしたい場合は、著作者に連絡し、使用許諾を取る必要があります。
主役 | 著作者への連絡・許諾 | |
---|---|---|
引用 | 自分の著作物 | 不要 |
転載 | 他人の著作物 | 必要 |
- 著作権者の許諾が必要
- 内容を改変しない
- 転載部分が区別されている
- 出典元を明示する
引用・参考・出典、どれを使えばいいですか?
引用の際につける、「引用」「参考」「出典」や、「元」をつけるかどうかですが、特に決まりはありません。
参考までに当サイトの場合は、ウェブサイトを引用する場合は「引用:記事タイトル」、書籍の場合は「出典:書籍名」としています。
まとめ:重要なことは著作者への敬意・損害を与えないこと
著作権法は、著作者の権利を守るための法律です。
引用の際に重要なこととして、引用をすることによって著作者に損害を与えることがないか、をチェックすると良いです。
損害とは、具体的にはほとんどの場合、本来著作者が得られた収益が得られなくなってしまう状態です(他にはイメージダウンなどもあります)。
例えば、映画作品の紹介などで、ストーリーが完全にわかってしまうレベルで事細かに解説してしまうとその映画は見られなくなってしまうかもしれません。
そうなると著作者が本来得られたはずの収益が得られなくなるので損害を与えている状態と言えます。
反対に引用を行うことで、作品に対する興味や関心が強くなり、観るつもりがなかったけれど見ることにした、となれば損害を与えていないどころかむしろプラスになりますよね。
著作者に対する敬意をもって、読者も、自分も、著作者も望ましい結果が得られるようにしましょう。